四十之巻 迫るオロチ

前回、「少年」から「明日夢」に昇格した明日夢は、その喜びを隠し切れずモッチーに自慢します。モッチーがまた明日夢の期待通りに「一人前の男として認めたってことかな?」と自尊心をくすぐるようなことを言うので、明日夢は有頂天です。さすがモッチー、男心を手のひらの上で転がすことにかけては天下一品です。
そんな中、あの憎ったらしい桐谷京介が休んでいると聞き、お見舞いに行くという偽善者ぶりを発揮して、自己の優位をアピールしようとする明日夢でしたが、桐谷が真剣にヒビキさんに弟子入りしようとしているのを知りショックを受けます。
しかし、転んでもたたでは起きない明日夢は、このショックについて相談という名目で、あきらをデエトに誘い出します。最近イブキとうまくいっていないあきらを、この際ゲットしてしまおうという魂胆です。
ここでもあきらに「ヒビキさんは安達くんを弟子にしようと思ってるんじゃないでしょうか」と期待通りのことを言われ、半信半疑な風を装いながらも俄然やる気になってきました。あきらもなかなかモッチーに負けてはいません。
しかし、依然に親の反対で鬼の道を断念せざるを得なくなった努少年の例もありますし、親の意向は確かめておかなければなりません。まさか息子が鬼になるとは思わない、という以前に鬼も魔化魍も知らないオカンは、「あんたがやりたい事をやればそれでいい。何でも」と理解のあるところを見せ、これで言質を取ったとばかりに明日夢は駆け出します。
しかしヒビキは「少年まで何言ってるんだよ」と本気で取り合いません。明日夢はまた「少年」に逆戻りでショックです。
この傷心を癒してもらおうと、明日夢はあきらとの密会を重ねるのでした。


京介と明日夢からいきなり弟子入りを懇願され困惑するヒビキに、イブキは「ヒビキさんはなんで弟子を取らないんですか?」と素朴な疑問。
「俺はまだ未熟者だし発展途上っていうかさ」とヒビキさん。
「弟子を育てることも鬼の仕事だと思いますけど」とイブキはムッとして答えます。
そりゃそうです。
何を言っているんですか。ヒビキさんは僕なんかよりずっと強いし、経験だって豊富じゃないですか。
僕が師匠として苦労している気持ちがあなたにわかりますか。本来ならあなたのような人がしっかり弟子を取って、鬼や猛士の発展に貢献すべきなんだ。
僕みたいな未熟者の若造でも弟子を取っているのに、いい年こいたオッサンが何を言っているんですか。
だいたいあんた、30過ぎで「発展途上」もないもんだ。そろそろ引退したっておかしかないよ。あんたが引退すればいよいよ俺様の時代でこの番組も「仮面ライダー威吹鬼」になるのに。ていうか、アームドセイバーさえ俺様のモノなら今すぐにでも「仮面ライダー威吹鬼」だったはずなんだ。たまたまあんたのモンになっちゃったけど本来なら平民のあんたより宗家跡取りたる俺様のモノになるべきじゃないのか布施明ムカツクーッ!
…と様々な思いがよぎった結果、「ヒビキさんは逃げてるんじゃないですか?」とキツイ一言を放ってしまいます。


一方、京介は再びヒビキに土下座して弟子入りを頼み込みますが、素気無く断られてしまい、「この際あなたでもいい」などと、イブキに擦り寄りますが、およそ師としての敬いの感じられない態度にイブキはご立腹。
こうなったら「先生!」とトドロキに擦り寄りますが、こっちもザンキさんの咳払いで撃沈。
最後の手段で、京介は明日夢とあきらの密会現場に押しかけ、あきらへの弟子入りを要請します。
もうちょっとであきらを落とせそうだった明日夢は、ここで邪魔はさせんとばかりに、勢いで自分も弟子入りを志願します。
いきなり2人の男に言い寄られ驚くあきらですが、胸中にはかつて朱鬼と夢見た野望がフツフツと…。
タナボタで2人の弟子を獲得したあきらは、彼らをあきらチルドレンと称し、一気に鬼派閥のドンを目指します。
そんな時、響鬼威吹鬼に緊急事態発生の報が。
よっしゃ、新弟子どもに、ここが私の腕の見せ所だーっとばかりに、変身です!!


この話の見どころはやはりラストのあきらの変身でしょうか。
ついにあきらが鬼に!!!
今回ははっきりとは映っていませんが、その姿は威吹鬼に酷似です。
今回は変身まででしたので、活躍は次回のお楽しみです。あと、変身が解けた後どうなるかもお楽しみ


今回は久々に明日夢のお母さんも登場しました。
明日夢の感情が様々に表現されてたのは良かったですが、ヒビキさんがどうも煮え切らないな。
「逃げてるんじゃないか」という指摘で発奮するという手は依然も使われましたが、脚本としては安易ですね。追い詰められて発奮するという状況は同じでも、誰かが積極的に追い詰めるというのは響鬼の世界には似つかわしくない気がします。
ヒビキさんが対人関係で逃げるというのも、キャラと違うし、これまで説明されてもいませんね。恋の悩みがわかるかどうかとは師弟関係はまた別問題ですし。
ヒビキとてかつては師の元で学んだわけだし、トドロキを教導したこともあるし、明日夢に至っては、弟子とかとは関係無く何かを伝えていきたいと積極的に意思表示をしてたわけだから。弟子を取ることに否定的であるとは思われない。
今回の話を描くなら、明日夢に弟子入り志願されても本気と取らなかったという程度で十分なのですが、イブキに追い詰められ返事をできないという状況が気に入らないな。


今回は、突然現れたり消えたりして移動する不思議な森が出現。
鬼ですら、立ち入れば危険な森。
木霊の森と呼ばれるその森は、オロチの前兆なのだという。
魔化魍を生み出している謎の男女が「どうにもならない」というオロチとはいったい?
魔化魍の一種ではないのか?
最終回に向かう山場がいよいよ見えてきた感じです。
映画に出てきたのもオロチでしたが、あれはアームドセイバーで一撃だったから、もっと全然違うものであってほしいところですが。