仮面ライダー THE FIRST

遅ればせながら見てきました。奥さんと一緒に。
いつも行くようなエリアでは上映してる映画館が無かったり、風邪引きさんだったりしたこともあり、こんなに遅くなってしまいましたが。そろそろ行かないと終わってしまう…。
特撮系の場合はこっちが付き合ってもらうため通常は費用負担はこちら持ちなのですが、勤労感謝の日ということで奥さんのおごりで。ラッキー。と言っても元はこっちなんだけどさー(笑)
T・ジョイ大泉で観てきました。大泉学園に行ったのは初めて。ここが東映の撮影所か〜。
T・ジョイ大泉は駐車場完備。今回は電車で来ましたが、うちからだと乗換も多いので、ここなら車の方が早いかもしれん。セゾンカードかツタヤのカードがあれば割引もあるみたいだし、結構いいかも。


映画の方は、Yahoo!ムービーのユーザーレビューとか読んで、あまりの評価の低さに戦々恐々としながら見に行ったわけですが、意外と良かったですよ。余計は期待を払拭してから観に行ったのが良かったのかもしれませんが。
まず、ライダーを含めた改造人間の造形が素晴らしいです。
改造人間がいかにも人間らしいというか、それぞれに個性があるのもいいですね。
板尾創路のスパイダーはキャラの見せ方は上手いなあ。バットの津田寛治も破天荒でいいぞ。
高野八誠もいいな。2役ですが、特に一文字隼人の役がいいですね。いけ好かない野郎で、何も考えてない感じなんですが、それでも不思議に魅力的なキャラになってます。こういう役もできるんだな。
小嶺麗奈のヒロイン役はイマイチ。2人(3人?)の男が惹かれる役としては、どこが魅力的なのかがイマイチわからん。可愛げを感じる描写なり、人間的な魅力を感じる描写なり、何かがほしいところです。


アクションは爆発も抑えてますし、短いアップのカットの多様で迫力の印象を強める*1ということもあまりしてない分、殺陣や映像で見せる玄人好みな映像ではないでしょうか。バイクアクションなどは特に秀逸です。
ただ、やはりマスクによる視界の悪さやスーツによる動きの制約などもあるのでしょうが、GAROなどの素面でできるアクションに比べ、若干ぎこちなかったように思います。これは限界なのかなあ。
いわゆる「変身!」シーンは無く、マスクを装着して戦うのですが、それはそれでリアルで良いと思ってました。ところが、アクションの中で1箇所、その変身ポーズを見せるシーンがあるんですね。あれは自分で思っていた以上にゾクゾクしました。


テーマが恋愛に傾き過ぎとの批判があるようですが、映画という短い時間を考えれば、それでいいんじゃないかと思います。
全体として悪くはないのですが、説明不足で飛ばし気味なところがある点、本郷猛の心情描写に不足がある点、仕掛けにあざとさが透けて見える点が難点です。
これに関しては説明するとネタバレになってしまうので、以下で。


ネタバレ注意。
まず、説明不足で飛ばし気味な点としては。
本郷猛(黄川田将也)と立花藤兵衛(宮内洋)とはどういう関係なのか。宮内洋は古参ファンのためのサービス出演としても、バイク自体は非常に重要なポジションだったわけで、この2人の繋がりが1シーンのみというのはどうなのか。改造前の時点でもう1シーン、2人の関係を示すものが欲しいところです。
「お前なら乗りこなせるだろう」という藤兵衛のセリフからしても、猛は単なる優秀な研究員に止まらず、バイクの腕前も相当なものであるはずで、それを示すシーンもほしい。
優秀な研究員というのも、どの程度優秀なのか*2一言でいいので描写があれば。
そういう描写が、ショッカーに選ばれたということや、唯一の改造人間成功例となったということへの根拠付けとしても有効であると思われます。
あと2号のバイクの出所は?(笑)


一文字隼人(高野八誠)と亡くなった婚約者とはどういう関係なのか。死者蘇生か遺伝子利用というところでしょうが、それをやったショッカーにはそれなりの狙いがあったはずで、それを示してもらいたかったです。
それが示されてないので、一文字隼人は婚約者に近づくことで本郷猛と接触を図ろうとしますが、一方でショッカーは婚約者を目撃者として殺そうとするという相反する行動を取ってしまっています。この辺は、脚本としての矛盾でしょう。あるシチュエーションを成立させるためにいろいろ細工を労して、その結果別の面で矛盾を生んでしまうというのは、井上脚本でまま見る欠点です。
また一度失敗した途端に裏切り者扱いとは、ショッカーも気が短いですね。それならそれで、事前に警告でも無いと、隼人も浮かばれないし、改めて裏切り者となる覚悟も定まらないと思います。
あと、隼人は猛と違ってリジェクション反応から免れてないのですが、それについては説明も解決も何も無いまま、以降リジェクション反応が出ることもなく有耶無耶です。猛のように深く考え悩まない隼人の性格のおかげで適当に有耶無耶になっちゃっており、この辺は高野八誠の演技も良くて不自然さはほとんど無いのですが。
それでも、リジェクションがある以上、隼人のショッカー裏切りの障壁は非常に高いはずで、有耶無耶にしていい問題ではないです。


本郷猛の心情描写については、惜しいところまで描かれているんですが。
恋愛がテーマになっているからには、人外のパワーを得てしまったことへの戸惑いとか以上に、改造人間ゆえに彼女に思いを告げられない悲哀を描いてほしいです。
それが無いので、単に勇気が無くて告白できないウジウジしたやつのように見えます。
人外パワーの戸惑いという点では、暴走トラックから少女を救うシーンで非常に上手く表現できてました。


仕掛けにあざとさが透けて見えるというのは、ウエンツ瑛士の件です。
このどんでん返し自体はアクセントとして非常に良かったので、これを欠点に挙げるのは酷かもしれないのですが。
本郷猛らとの接点が全く無く話が進むため、どんでん返しするぞ〜、するぞ〜という、それだけのためのエピソードになってしまっています。
ただこれは、他の部分がきちんと描けていれば、あまり気にならなかったかもしれません。
どう?ビックリした?どんでん返ししてやったぜ〜ってな作り手側の思惑が透けて見えるのが気に入らないのです。
説明不足、描写不足と思える点が他にあるのに、そんな小細工で満足に浸ってないで、もっと描くべき点をきちんと描けと。


90分映画ですが、やはり90分ではちょっと短いよなという印象。結局のところ大人向けなんだから、120分でもいいじゃないかと思うんですが。
ウェンツの部分をバッサリ捨てるか、さもなくば120分に伸ばして、足りない部分をきっちりフォローすればもっと良かったのになあと思います。

*1:その代わり、どんな動作をしているのかよく分からない

*2:TVではIQ600だったが