特撮まとめてレビュー PART 1

ずいぶんと間が空いたんで、最近終わっちゃったものも含めてまとめてレビュー行きます。
まず今日は、3月いっぱいで無事放送が終了した牙狼から。


牙狼(GARO)
終わっちゃったなあ…と感傷にふける時期はもう過ぎましたが。
前半は、アクションと映像はすごいもののドラマ性には欠けてましたが、後半はドラマ性がぐっと増してきて、かなり燃えてました。


邪美はアクションも妖艶さもかなりいかしてたなあ。たった2話でいなくなったのが勿体無い。
阿門法師もそうだったけど、非常に魅力的なバイプレイヤーが出ても、その出番がとても短く、全部ゲスト扱いでした。
ほとんどの部分はレギュラー陣だけで話を進行。特撮に金をかけた代わりに、キャストは極力抑えた結果、こうなったのでしょうか。
でも、仮にお金の都合だったにしても、結果として、あまりスポットを当てる範囲を広げ過ぎず、あくまで主要メンバーを中心に話を進めるのは、正解だったと思います。1年間続けるシリーズでもなし、あまり余計なことをやってる暇はない。それに作品イメージ的にも、ボリュームで押すより、密度で勝負という方が合っているように思います。


鋼牙が鎧に食われて獣化しそうになるシーンは、なんだかどこかで見たことあるような印象。
でも、変身時間99.9秒を過ぎるとどうなるか、裏設定を垣間見ることができたのは良かったです。
ただ、既に一度対決している*1コダマ相手に、獣化までしないと勝てなかったのは情けない。気持ちが焦っていたにしてもあんまりです。獣化はガルム戦でやれば説得力があったのに。


そのガルム戦は零の受け持ちだったけど、完全に押されまくりで良いとこ無しでした。あまりに実力差があり過ぎたので、最後の最後で奇跡的に勝ちを拾ったのも、「良かった良かった」というより「ええ〜、なんで?」という感の方が強いです。
見せ場としては、ガルムとコダマの受け持ちを、鋼牙と交代してれば良かったんじゃないかなあ。ガルムの前身である三神官との関わりは、鋼牙の方が深いわけだし。
ていうか、なんでガルムよ? ケル、ベル、ローズの三神官の合体なら、当然ケルベロスでしょうに。


メシアは巨大感たっぷりリアル感たっぷりで良かったなあ。足跡からホラーが続々生まれるというのも創世神話的で、絶対無比な感じ。
カオルの絵がガロに翼を与えるというのも良かった。この世ならありえないことでも、魔界でやってるだけにありそうな気がします。


最後の暗黒剣士キバ戦は、有り無しで言えばあって良かったですが、ちょっと冗長な感じ。メシアを倒したガロからすれば、もっと圧倒的な力の差で屠ってほしかった。夜景のはるか上空に舞う魔方陣の上での戦いは、絵的にはとても魅力的だけど、あんなに長くする必要はない。


ラストシーンは鋼牙とカオルはそれぞれの道へ旅立ってしまいます。
なぜ一緒にならない!? ここが一番納得がいかん!
確かにストイックな魔戒騎士というのは当初の設定だし、それはそれで魅力的ではありますが、後半の流れを通して、鋼牙はカオルへの想いを多少なりとも見せるようになってきてたし、自分の気持ちに素直になってきてました。それが鋼牙にとっての人間的な成長であったのに。なぜ最後に来て振り出しに戻っちゃうかなあ。
一緒になるというのは、別に一緒に暮らすということじゃなくていいんだけど、心は常に一緒にあるということを示して終わってもらいたかったな。


と、まあ、批判的なことも書いてますが、総じて非常にレベルの高い、いい作品でした。
自分自身の傾向として、高いレベルの評価をしており、部分的に惜しい点のあるものの方が、批判的なことを言ってしまいがちです。「まあまあです」とか「こういうのもアリなんじゃないでしょうか」とか、お茶を濁したような誉め方をしているものの方が、個人的評価はずっと低かったりします。
1話も逃さず通して見れて良かったです。後続番組が無いのがやや残念ではありますが、このレベルの作品を続けて出せというのも無茶なので、幕引きとしてもこれが正解だと思います。
とても面白い作品を、どうもありがとうございました。

*1:邪美戦を含めたら既に何度も実力が露見している