三十七之巻 甦る雷

人を守ることを使命とする鬼が、魔化魍を倒すためとはいえ、人を犠牲にするようなことは許されない。
朱鬼はその禁を破った。
朱鬼の両親を殺した魔化魍ツノゴは、人を食う時にのみ弱点の口をさらす強敵。
ザンキが変身できなくなった胸の古傷は、斬鬼がノツゴに捕食されかけた時、斬鬼もろともノツゴを倒そうとした朱鬼にやられた傷だった。
呪術的な力で若さを保つ朱鬼。古い鬼の技を使いこなす朱鬼。
恨みからついに開放されず、恨みにより身を滅ぼしたが、達成の満足の中で死んでいった朱鬼。
たった2話の間ですが、異様な光彩を放って消えていったキャラクターでした。
最期のシーンがやけに花咲き乱れる綺麗な場所だなと思ったら、それが朱鬼の死に顔を隠すための手向けになるとは。気の利いた演出ですね。


しかし、ザンキさんが朱鬼の弟子だった頃って、だいぶ前だと思うのですが、その間ツノゴはずっと健在だったってことでしょうか。朱鬼が倒せなかったくらいだから他の誰かが倒せたとも思えないし、同じツノゴでも別の個体ならああまで恨みに思わないでしょうし。
ツノゴがずっとのさばっていたとすれば、いったいどれくらいの人が犠牲になったんでしょうか??
あと、先週の医者の「もう絶対変身するな」という助言はどうなっちゃったんだろう?
トドロキが変身鬼弦音錠を奪われても、ザンキは自分のを貸したりせずにずっと持ってるし、トドロキに譲った烈雷とは別に音撃弦まで隠し持ってて、いざという時は変身する気満々なんですが。
変身したら命に関わるんじゃなかったのか?
たぶん朱鬼と関わりのある「胸の古傷」というのを出したかったんだと思うけど、それだけなら命に関わるとか言わなくても別によかったのでは。
朱鬼の人物像は良いのですが、周辺設定がやや整合に欠ける気がします。


ただ、ザンキやあきらのようなサブキャラにスポットを当てるという今回のような話は、1回はやっとくべきものですね。ザンキとあきらというこれまで接点の無い組み合わせも面白かったです。
「恨みを忘れるな」という朱鬼の言葉に共鳴するものを感じたあきらは、朱鬼に弟子入りを願う。
鬼祓いの指令を受け、あきらを鬼の暗部に触れさせたくないイブキは、師としての迷いの中にいる。
朱鬼はいなくなりましたが、2人の悩みはまだ解決していません。この辺は次回以降も持ち越されそうな感じです。