十之巻 並び立つ鬼

イブキさんが遭遇した謎の魔化魍の正体は、100年に一度現れるオトロシという奴だった。
対策がわからないなりに、バックアップにヒビキを回し、2人の鬼が協力して魔化魍退治に挑む。


「ごちそうさまでした」
万引き少年に因縁つけられて殴られそうなところを、おやっさんに助けられる明日夢
自分自身が情けなく、ヒビキさんに合わせる顔もなく、出されたお団子も食べず、たちばなを去ります。
万引きを目撃しながら注意もできず、そいつに因縁つけられてなす術なかった不甲斐なさで、激しく落ち込み、自分に苛立ち、自転車を走らせます。
力無き正義は無力なり。


「あんたたちみたいな人殺し、絶対許さない!」
童子と姫と対峙するアキラ。気勢は良くても力がありません。まだまだ鍛え方が足りず、木の枝をぶつけられただけで手と足に怪我をして戦線離脱です。
ここでも、力無き正義は無力なり。
前回、イブキの足手まといにしかならない自分に対する苛立ちが、明日夢への攻撃となってしまったアキラですが、一緒のシーンは無くとも、今回の2人も相似形を成してて、なかなか細やかな脚本だと思います。


「いくぞ!」「はい!」
変身しようとするイブキを急襲する童子と姫。イブキがややピンチになった時、車が着いたと思う間もなく、飛び蹴りで童子と姫を吹っ飛ばし、颯爽と登場のヒビキさん。姿も見せず間髪入れぬアクション、その後改めて姿を確認できるという演出はカッコイイというほかありません。
同じ鬼であるイブキから見ても、頼りになる大人って感じでしょう。
2人の鬼が並び立つシーンは、キタ――――ッて感じ。


「なんだ、アイツ……」
今回の魔化魍オトロシは、亀とサイを掛け合わせたような奴で、かなり巨大。甲羅の中に頭と手足を引っ込めて爆煙出して空飛びます。
ヒビキの呆れたような声が印象的。
今まで出てきた魔化魍と一線を画すスケールと迫力。甲羅に目があるのが魔物っぽくて良いです。それが弱点なのが難ですが(笑)


「だ〜いじょうぶ、まかしとけ」
空飛ぶオトロシを追って、バイクを走らせる響鬼と息吹鬼。並び立つ2人の図もカッコイイですが、バイク2ケツもいいなあ。やはりライダーはバイクだなあ。
空飛ぶ相手への遠距離攻撃は息吹鬼の技が必要なので、彼がケツに乗って攻撃役。当然、響鬼は運転役。でも、ヒビキさんは明日夢君にも「ペーパーですか?」と突っ込まれるほどの運転下手なはず。なぜか運転できてるな〜と思いきや、今度は走らせるのはできても止められず。
敵に攻撃されたわけでもなく普通に走ってるだけなのに「飛び降りるぞ!」ってのが爆笑。あえなくバイクは工事フェンスに激突。大破ではなさそうですが、イブキはとんだ災難です。


「ヒビキさ〜〜ん」
半泣きのイブキの声も笑えるし、ヒビキの鬼の姿で手を合わせて「ゴメン」ってのも笑えます。最後の「ドンマイ、ドンマイ、ははははは」ってのもヒビキさんらしく憎めないキャラで良し。


「私、寝ちゃったんだよね」
落ち込む明日夢の横に座り、また一緒に映画を見に行こうと誘うひとみ。
何があったのかとか聞き質したりせず、そっと慰めてくれる……ええ子や〜。
明日夢くん恵まれとるなあ。