CASSHERN

CASSHERN*1」を観たのはもう10日くらい前なんですけどね。観た直後は感想書けるほど、自分の中で消化されていなかったので。
伝通院先生に会った後だっただけに(←それは関係ナイだろ)


なんというか、凄い映画ですね。
良いとか悪いとかいう評価を置いといて、斬新です。こういう映画を日本人が生み出したという点は評価したい。
何が斬新かというと、やはり映像が、ということになるでしょうか*2。テーマ的には使い古されたテーマですからね。
ただ、テーマそのものは、使い古されたものだとはいえ、映像を通してそれを訴えた場合に、受けるものは自ずと違ってくるわけで、そういう意味で、映像だけを切り出して評価するのは忍びないというのが正直なところです。
監督の紀里谷和明さんによれば、CGや映像美が一番重要なものではないんだということに気づいてもらえれば、この映画は成功なんだとか。*3
そんなこと言ったって、こんだけ映像が主張しちゃってるとどうしたってそっちに目が行くよ。そういうつもりなら、この映像の懲りようは、むしろ邪魔なんじゃないの? と最初は思いましたが、この映像無しでは、また伝わってくるものも違うものになってたんだろうと思います。
で、この映画が訴えるテーマとは「憎しみの連鎖」。
憎い、だから報復する。それでは争いはなくならない。911テロ以降、実社会でも様々に議論された事柄であり、イラクが未だ紛糾を続ける今、タイムリーなテーマでもあります。


出だしの町並み、アニメなんだか実写なんだか不分明な不思議なテイストで、この時点で早くも映像に魅せられました。今時はCGアニメで、アニメなんだけど実写に見える不分明な映像がよくありますが、この映画ではそういうのとは違くて。実写なんだけど絵のように見えるというか。もしくは絵で書いたものを実写っぽく見えるよう映像処理しているのか。とにかく、絵と写真の中間というのがしっくり来ます。つまり、わざとそういう映像を作っているわけですが。
CASSHERNが暴れるような動きの激しいシーンでもそれは同じ。コマ送りじゃないんだけど、わざと止め絵を見せられてるような錯覚に陥るんですよ。動きを動きとして見せるのでなく、残像として見せるのでもなく、流線で見せる。マンガかアニメみたいな絵です。実写であえてそれをやる。
合成とかも、わざと合成だとわかるような絵にしてたり。
なぜそんなことをしてるのか、その説明は私にはできませんが(笑)記憶に残る絵であることは確かです。


1シーン1シーンでは、説明が足りない、というか説明することを放棄している部分が多くて、そういうのに引っかかってしまう人にはつらい映画かもしれません。
ただ、本当に言いたいことは、映像の記憶とともにガッツリ伝わってきますので、それでいいんじゃないかな、と私などは思いますが。
キャストも素晴らしいハマリ具合です。唐沢寿明宮迫博之及川光博、この辺りの評価が特に高いみたいですが、それは全面的に賛成。


*1:適当に「キャシャーン」と書いたこともありますが、プログラムを見るに、製作者としては、旧来のアニメ作品の「新造人間キャシャーン」との呼び分けを、英語表記とすることでつけているようなので、映画「CASSHERN」についてはこの表記で行きます。

*2:しかし、実は斬新なのではなくレトロ、5〜60年代の映像手法なのだという話も聞く。その頃だと生まれる前だけに馴染みがないのだが、言われてみれば時々TVでやる古〜い映画の特撮部分と映像テイストが似てるような気もする。

*3:プログラムより