修行その13 シンシン!精霊の舞い

第3の拳聖バット・リーの登場で盛り上げたいところですが…。
しかし、内容の方は、むむむむぅ…。


一番残念だったのは、バット・リーの踊りの美しさが、さほど感じられなかったことです。
芸術家のレツが「美しい…」と恍惚とするシーンですし、タイトルにもある「精霊の舞い」なので、ここは目いっぱい幻想的な美しさを演出してほしかったところですが。
踊りのシーンよりも、むしろレツとバット・リーの組み手のシーンの方が美しく感じました。


実際に京劇の有名な方が踊ったようですし、踊り自体は本物なんでしょうが、カメラワークが良くないのか、絵が引き過ぎで、動きのダイナミックさが伝わってきません。
引き絵の一本調子ではなく、中距離に寄った絵や、スローモーション、残像効果など、さまざまな演出効果を駆使してもらいたかった感があります。もしくは、引き絵にするなら、もう少しモーションの大きな踊りは無いのでしょうか。こういう絵にしたいというような事で、踊り手と十分に相談できてないのかな。
その道で有名な方に対して、カット割を変えて何回も踊ってもらったり、いろいろ注文つけたりするのは、畏れ多くてできないというような遠慮があるのかなと思いますが、得てして、大御所を起用した際に、かえってこの遠慮のせいで失敗してしまうケースが、ままあるように見受けられます。


それに、せっかく本物の踊りなのに、湖面の上で踊る合成を加えてしまったために、映像が嘘くさいです。
湖面をつたう幻想的な美しさを持つシーンとして、私は映画のグリーン・ディスティニーを思い浮かべてしまうのですが。ワイヤーで吊ってのゆるやかな空中遊舞、その状態で湖面をつたい、爪先がわずかに水面に触れて、そこから生じる波紋が、なんとも幻想的でした。
別に踊りの全身像を入れる必要は無いですから、こういう爪先の一シーンでも入っていると、だいぶ違ったんですが。


あと、今回の命題は「空飛ぶ敵に勝つための修行」ですが、等身大の戦いでは敵のルーツとラスカは一切飛ばなかったのに、やはりボコボコにされてたことは秘密です(笑)
最初は優勢だったのに敵が飛んだ途端にやられた、とかなら良かったんですが。やられた後、修行してリベンジというのは黄金パターンですが、それにしてもちょっとやられ過ぎです。敵の勝利の後、敵が飽きて帰ってしまうというのがあまりに多いのも、ちょっと何だかなあ。